することになってしまった。瑠儀を事務所内に寝かせておくために。
瑠儀は朝から姿を現した。左手を地面につかないようにしながら。あちこち触って確認したところ、腕の付け根近くが腫れている。傷は見たところはないようなのだが、まさかひび?朝食後出て行ってしまい、午後夕飯にやってきてからはそのまま事務所内の好きな場所に寝たり、起きたりしていた。夕方になっても出る気配がない上に、そんな瑠儀をいつものように外に出すのは私も叔母もしたくはなくなっていた。どんな時も自分の寝床に帰る瑠儀が、出ようとしないのだから。
私は一旦家に戻り、叔母が事務所で仕事を続ける9時までに瑠儀が出て行かなければ、私が戻って泊り込むことにした。
きり達、しまじ達の食餌、自分の食事、風呂を済ませ、事務所へ戻る。
瑠儀は叔母曰く、「左手も少し動かして毛繕いできるようになった」と。言われれば、心なしか僅かに腫れが治まってきている気はする。もちろん一番酷い状態は昨日一日だったはずだが。
心配は心配だが、瑠儀と一緒に過ごす始めての夜。実はちょっと嬉しかったりもする。きり達、特に甘ったれのぎんたには申し訳ないが(^^;)
白はいつもと変わらぬ素振りで食餌に来た。
こちびの置き餌は減っていない。おばあは「死んだとばいね」と簡単に言う。簡単にそんなことは誰にも言われたくないし、おばあに「死」という言葉は余計に使って欲しくない。というよりも、おばあから諦めで出る言葉は聞きたくないのだ。その可能性が念頭にないと言えば嘘になるが、少し事情が違う気もするのだ。心配に思えばいくらでも可能性は考えつくが、当分置き餌をやめる気はないし、諦めたくもない。一番最初に置き餌が丸々残ってた日、その置き餌を新しいものに変えた後に、私はこちびの姿を確認しているのだ。その新しい分も丸々残ってはいたが。
サヴァだってジロウだって、私の行動を知らない第三者から見れば、死んだと思われても仕方ない状況だった。けれど彼らは元気に生きて、私はSの母上に甘えている。同じことがどこにでも起きると暢気に考えたりはしないが、信じていなければ、私はきっとへこたれる。
信じているからこそ、今も私はきみやちゃな、ゴンの帰りを待っている。