知らないことは罪だと思った。
「保護しなければとっくに死んでた」と言ってくれる友人たちの言葉もその通りだとは思うけど、巣立ちの練習をしてるんだと知っていれば、もう少し見守る選択もできたかもしれない。
けれど、お互いが選んだから出逢って、少しの時間を一緒に過ごすことになった。
それがこの世界だからね。
けれど、私が何を体験したかったのか、ラニが何を経験したかったのか、未だにはっきりしない。
はっきりしないけれど、カラスのことを学び、もともと嫌いじゃなかったものが『可愛く』さえ思えるようになり、何よりも、目の前の存在としっかり向き合うことの大事さを学んだ。今の私には猫ではダメだったんだろう。
もうまったく何の推測も予断もできない『鳥』でなければ。
1ヶ月にも満たない時間だったけれど、自分と向き合い、目を背け、葛藤し、やっとラニと向き合って世話していこうと決断した矢先、ラニは身体を我が家に残し、空へ飛び立っていった。
綺麗に書いてるように見えるだろうけれど、全然そんな時間じゃなかった。
保護、なんて優しい行動でもなかったよ、終わってみれば。
二度と鳥は保護しない、したくない。鳥は難し過ぎる。
それに、私の人生に鳥は『ラニ』だけがいい、と思ってしまうから。