柴田よしき/新潮社(文庫)
★★★★
人の死に纏わる過去の声が聞こえてしまう杏子。その力は何故か、別れた夫・石神と一緒にいることで発揮されてしまうのだった。夫の暴力に痛めつけられ、やっとの思いで別れた彼女の元に、再び石神が現れる。警察がその力を必要としているのだった。
今もまだ石神から受けた心の傷に苦しむ杏子だったが・・・。
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面白い設定ですよね。そしてその中に、何とさりげなく、重いテーマを、しかし前向きに織り込んであることか・・・。
過去の傷、自分自身、忌まわしい発端を持つ能力、それらをしっかりと徐々に受け止めて、前向きに生きていこうとする杏子は、清々しい。最初の話でこそ痛ましくて、情けなくて、悲しい姿でしたが。
五十嵐との繋がりも応援したくなってしまうほど。「実は・・・」的な展開というか、隠し設定を最後の最後まで期待してしまうほど(^^;)
人は自分の力でしか前に進めないけれど、そうしようとその人が思えるようになるには、どれほどの周囲の人の想いが重要か。その想いを活かせる本人の力なくしては・・・なのですが、想いがなければ本人もどうしようもないわけですから、どちらがより大事かということではないんですけどね。最近、改めてそう思うことがごく身近にあったもので・・・。私の応援などたいした力にはならないだろうけれど、それでも私にできる応援はしたい、と。
とまぁ、何の気なしに借りた一冊。柴田さんだから面白いだろう程度ではありましたが、それ以上の読了感でした。
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