
恩田陸/朝日新聞社
★★★★☆
死者がヒガンの間、実体化して現れる聖地「アナザー・ヒル」。V.ファーの人々は長い間、そのことを日常に続くものとして受け入れてきた。ジュンイチロウ・イトウはV.ファーに住む遠縁を頼り、ヒルに滞在する許可を得る。
しかし今年のヒガンはいつものそれとは既にどこかが違っていた。「血塗れジャック」の犠牲になった被害者5人も現れるはずだったからだ。が、これまでと違うのはそれだけではなく・・・。
********************************************
恩田ワールドのようであり、恩田ワールドのようでなし。
とにかく楽しめたのは事実です。深夜読み終えたこともあって、ラストはゾワッとさせられてしまったくらい。ちょっと悔しい(笑)
身近な「お彼岸」がこういう形で物語りに出てくることで、新鮮さも感じられたし、しっかり上手い具合に騙してもらえた部分もあったし、「死者との別れ」というものについて改めて考えさせられたり・・・。
これだけの要素をこんなふうにごった煮にしてしまって、あれだけの形にまとめてしまえるのはやはりスゴイな。
肩透かしなラストもやむなしと思いつつ読み進めてましたが(途中が壮大だったり、面白度が高かったりするものほど、肩透かしラストに終わることが多かったりする、という主観を恩田女史には持っているので)、心配したほどの肩透かしではなく、これならまぁ納得できる。
実体化されるのは身近な人間だった相手でも怖い気がするけど、こういうのいいなぁ、と思う。
突然の死別だったり、今際の際に間に合わず逝かせてしまった人がいる場合はね、ジュンイチロウも言ってる通りだと思う。
1年ほど前祖母が、近親者が傍にいられない時間に昏睡状態になり、そのまま逝ってしまったのです。私は「おばあはいつも私らを見てる。話しかければちゃんと届いている」と当然のように思っているのだけれど、母はやはりそのことが心残りだったようで・・・。たまたまそんな会話をこの本を読んでいる時にしたものだから、余計に「ヒガン」が羨ましく思えたりしました。
コメントする