恩田陸/講談社(文庫)
★★★★
『三月は深き紅の淵を』という一冊の幻の本を要に、4つの中編からなる本書。
「この家の中にあるある一冊の本を探して欲しい」と、会長の家に招かれた鮫島。その本を読んだことがある4人の人物の話を聞いて、鮫島が出した答えとは・・・。(「第一章 待っている人々」)
幻の本の作者を探し出そうと、気の合う編集者と出雲へ夜行列車の旅をする堂垣隆子。列車の中で繰り広げた仮説、そして辿り着いた先で隆子が見つけたものは・・・。(「第二章 出雲夜想曲」)
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不思議。もうこの一言に尽きます。
どう感想を書き記していいのか分からない世界なのだけど、一章一章、引き込まれて読んだのは事実。
頭の中できちんと整理し直して把握したい私なのだけど、「そんなことする必要も意味もないよ」と本に言われているかのような気になる。うん、これは読んでそのままに感じて、いつか何かの拍子にふっと思い出すまで、私の中の引き出しに仕舞っておけばいいのだろう。
一冊の本から、これだけの、いや多分もっと多くの物語が紡ぎ出される不思議。そこに一冊の本がある、というそのことだけで・・・。それは「一冊の本」でなくてもいいのだろうけれど、「一冊の本」であるからこそ生まれ、活かされるエピソードがあるのだろう。作者が男性か女性かも分からない、限られた人間しか読めない物語なんて、そしてこのタイトル、読みたいと思わずにはいられないだろう。
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