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「ヴォイス  西のはての年代記Ⅱ」

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ヴォイス (西のはての年代記) (西のはての年代記 2)アーシュラ・K・ル=グウィン/河出書房新社
★★★★☆
文字を持たない国オルドによって占領されたアンサル。かつては大学があり、文化の栄えた都市だったアンサルに、今はその影すらなかった。文字を読む者、文字の書かれた書物、すべてが魔のものとして刈られてしまったのだ。
しかしオルドとアンサルの落とし子として生まれたメマーは、秘密の部屋で、道の長から文字を学び続けていた。
そんなある日、メマーはアンサルにやってきた詩人とその妻に出逢う。その出逢いはやがて、アンサルに大きな影響を与えて行くのだった。
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前作から楽しみにしていた続巻です。既に前作から随分と時が経ったようで、オレックとグライは様々な国や都市を旅してきています。本作の主人公は彼らではなくメマーという少女ですが、2人は強くメマーに関わってきます。特にグライは。

不思議に感じたのは、何よりメマーの強さというか、前に向かう意思。自分の出自を真っ向から見つめて、その上でオルドに敵意を漲らせ、けれど何故かそれが陰鬱でないのです。もちろん物騒な考えはありますが、いじけていない。姿形を気にしていても、それすら自分の武器にしてしまっている。
そんな強さや前へと向かう真っ直ぐさを持つからこそ、「ヴォイス」というギフトを得たのか、それを潜在的に持っているがための強さなのか。彼女がやがてオレックらと共に歩む道が楽しみで仕方ありません。次作にそういうものを垣間見ることができるでしょうか?

ふと思いました。
大きなものを変えようとする時に、恐らく英雄というものは必要ないのかもしれません。一人一人がそれぞれにできることをする、そしてそれが時機を得た時に、世界を動かす大きなうねりになる。恐らくオレックや幾人かが、やがて歴史の中で英雄として語られるとしても、実際は彼らの存在だけが世界を動かしたのではないように、現実でも一人一人の力が、変えようもないように思えることを変えていくのでしょうね。
当たり前のことようですが、歴史を表面だけで学ぶと、そんなことさえ見落としてしまいがちなのかもしれません。

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