
辻村深月/講談社
★★★★☆
たった一人の常軌を逸したファンが起こした、猟奇殺人。彼は「チヨダコウキ」のファンであり、その殺人に関する映像をコウキのために残していた。そのために休筆を余儀なくされたコウキを救ったのは、「コウキの天使ちゃん」と名づけられた、一人の少女からの手紙だった。
それから10年、人気脚本家赤羽環が大家となった「スロウハイツ」には、コウキの他に、画家や漫画家、映画監督を目指す仲間達が集まっていた。
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良かった。ああいう終わり方で良かった。本当に。
これまでの辻村作品と違って、不思議な力や設定はなかったけれど、ぜんぜん気にならない。そういう作品がとても好きではあるけれど、もしかして、どちらかを選ぶとしたら、今後こういうものをもっと書いて欲しいかも、と思えるくらい。
あれこれと皆の秘密は推測しやすくはあるのだけど、特にコウちゃんについては、伏線が繋がっていくごとに微笑ましいというか、ニヤニヤしてしまうというか、嬉しくなってしまった。
これ、上下の表紙、あの話に引っ掛けてあるんですよね(⌒▽⌒)
事件を起こした人間が、特定の小説やコミック、アニメ、映画、そういうものを好んでいたとなると、こぞってその対象を叩き始めるマスコミや顔のない大勢の人間がいるのは現実。人は自分達が理解できるレベルでの「何故」を欲しがるから、具体的な対象をどうしても欲しがる。
けれど、そこに残酷な描写があったとしても、特異な考え方がキャラクターの設定として含まれていたとしても、それがすべてであることは少ない(残虐さだけを売りにした映像とかは論外)。はず。それだけのものがそれほどに影響を与えられるとは思えない。とは、人の善を信じ過ぎだろうか。
けれど、その作品の向こうに、元気を勇気を希望をもらっている子達がいるのも事実なんだと思う。
いずれにせよ、それらを知りもしない、知ろうともしない人間が非難をすることだけは間違っている、と言い切れる。
事件の度にいろいろなものが取り沙汰される。その度にそんなふうに反発を覚えてしまうのだ。
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