湯本香樹実/新潮社(文庫)
★★★★
父が死に、虚ろな時間を過ごす母と、母に必死に縋る私。ある日、何かに引き寄せられるように、ポプラの木がすっくと立つ「ポプラ荘」へと辿り着いた2人。怖くて近寄り難い大家のおばあさんと彼女の部屋に、いつしか私は父への手紙を何通も何通も届けに行くのだった。
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じんわりとした温かさとか、悲しさや寂しさのないしんみりさを味わいたいと思うと、湯本さんの作品に手を伸ばしているような気がする。梨木さんの作品への想いとはちょっと違う。
そこにある少年や少女と、おじいさんおばあさんとの繋がりが、何かを伝えてくるのだろう。こんなふうに、4人の祖父母と交流したことがないからかも。もちろん、可愛がってもらった記憶も、それなりに会話したり、何かをした記憶はあるのだけれど。
湯本さんの作品に生きるおじいさんおばあさんは、クセのある人物。けれどきっとかつては近所に必ずいたのであろう、そしてできるなら今もこれからもいて欲しいと思える人物。
いつか、そんなおばあさんになれるだろうか。そんなおじいさんおばあさんや、人間以外の動物を必要としない時代にだけは、なって欲しくないものである
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