伊坂幸太郎/集英社
★★★★☆
8年後、地球に小惑星が衝突して、地球上のどこであっても壊滅的な打撃を免れない、と知らされた人々はその多くが自暴自棄になっていた。やりたい放題に犯罪に走る者、恐怖に耐え切れず自殺する者、ただひたすら耐える者・・・。
そして5年が経ち、世界は一旦、落ち着きを取り戻す。家族の間にある亀裂、妊娠を知る夫婦、親を失った少女・・・・・・。
あなたや家族だけでなく、世界そのものの寿命を知らされたら、あなたならどうしますか?
********************************************
素晴らしく感動的というのとは、ちょっとだけ違うけれど、とても良い作品だと感じます。「オーデュボンの祈り」は素晴らしかったえkれど、独特の世界設定というものが、薦める人を選ばせるのだけど、これはそういうことがないかな、と思います。それほど重たくなく(小惑星が衝突して恐らく人類が絶えるだろうという設定は、重いと言えば重いけど)、文体としては結構さらっと読めるので、機会があったら手に取ってみることをお薦めします。
8本の短編からできていますが、それぞれの短編の主人公達は同じマンションに住む人々で、それぞれの話で少しづつ関係しています。(この辺がまた私の好みなので、採点が甘くなってることは否定できない(^^;))
どれもそれぞれ考えさせられることがあるのだけど、私は「演劇のオール」が一番好みかな。別にタイトルに演劇が入ってるからというわけではなく、内容がとってもいいなぁ、と。3年後、世界が終わるとしても、そして間際にはきっとじたばたしてしまうだろうけれど、それまでの3年という時間を、こういう人達と生きていこうとする倫理子がとても愛おしく感じた。
そして最終話の「深海のポール」で渡部が妻と見上げたマンションのベランダの光景の暖かさも。
どうしようもないほど荒れきった5年を想像するととても痛いものがあるけれど、そこを生き抜き、痛みや悲しみ、苦しみを抱えて日々を顔を上げて生きる人々の暖かさや優しさ、強さが、快かった。
コメントする