恩田陸/文藝春秋
★★★★
腹違いの兄が行方不明になり、その恋人に付き合って、彼の最後の足跡を辿る旅に出た。場所は奈良。
まるで死者と生者が共に暮らしているかのような過去がそっくり残る地。まるで大きな誰かに見守られているかのような安堵感を感じながら旅を続ける二人の前に、ついに尋ね人が現れるが・・・。
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どっかでとんでもないSFネタでの大どんでん返しがあるのかと思っていたら、全く違うジャンルのお話でした(笑)
行方不明の兄に纏わる話やその恋人らとの過去の話などはドラマだけど、全体的にはお寺だの古墳だのそこへ至る道々の描写も結構多い。ともすれば飽きてしまいそうにも思える風景描写だけれど、何故か全く飽きさせなかった。兄の失踪、彼を探す女性のいわく・・・という要素があるからでもあるが、当然作者の力量がなければ、どれだけ題材が面白くても駄目なものは駄目なまま。
その上、どうもリズム的にも合っているようだ(合っている作品が多い)というのも、ここに来てはっきりしてきた。
今回、肩透かしはなかったものの、物足りなさを感じた。これは単に、ラストが別の物語の始まりを予感させて終わってしまったからだろう(実際に作者がその物語を書くかどうかは別)。もっと旅の話、2人の女性と静の話、そして母と静の話を読みたかった、いやこれからでも読みたいと思ってしまったのは、自分でも意外な感想。
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