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「ぐるりのこと」

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ぐるりのこと梨木香歩/新潮社
★★★☆
自分の身の回り―ぐるり―のことをもっと深く、ひたひたと考えたい。次々に起きる争い、痛ましい事件。群れ、境界。どれも自分自身の手元に引き寄せ、考え、言葉を紡ぎ出す。
心の奥底から言葉にせずにはいられない何かを書き記していく、その行為が、やがて幾許かの轍となってくれることを願いつつ・・・。
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正直に言えば、これまでの梨木作品とは違って、リズム的にも言葉的にも文章的にも、読み辛い感がありました。それは書かれた題材が痛ましい事件やテロのことだから、というわけではなく、(勝手な想像だけれども)梨木さん自身が痛みの中、苦しみの中、言葉を搾り出されているからではないだろうか。
それでも梨木さん自身の考えは色々なところで共感できるものがある。もちろんそうでない部分だってある(犬の話題が出てくると過敏に反応してしまうし・・・でもちょっとそれは違いますよ、と言いたいのは正直なところ)。
購入して、随分長いこと手を付けずにいたのは、「ぐるり」というのが「世界」のことだと分かったからだと思う。どうしても、それが人の考えであっても、私自身がそれを読んで、受け取ることに対して耐性が低下しているように思えたから。読んだことで、何かしら沈んだり、引き摺ったりしそうな予感がしたせい。やっと手に取ってみたが、影響は今のところない。それは書かれてからも時間が経っているせいもあるだろうし、そこに書かれた事件以上に痛ましい(本当はそういったものは比較されるべきでも、できるものでもないが)事件が身近(そう、この佐世保で)に起こったせいもあるだろう。それは心の防御機能でもあるかもしれないが、鈍化とも言うのかもしれない。決してそれを是とはしたくないが。
また時間が経った時に読んでみれば、違った視点で読めるのだろうな。

それにしても、梨木さんが旅先で感じた母性に思わず涙しそうになったのは、どうしたことだろう。私が外に求めているのか、それとも自分の中に求めているのか・・・。

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