
ラルフ・イーザウ/あすなろ書房
★★★★☆
物語や言葉遊びが大好きなパーラ。パーラが慕う偉大な語り部ガスパーレが突然、言葉を失ってしまった。こちらの言葉も理解できない様子のガスパーレは必死に、町に舞い戻ったジットが住む古城を指し示す。
次々に言葉の一部や全てを失う町の人々、詩や物語や言葉によるコミュニケーションを大事にしていた町がいつの間にか、沈黙や人を傷つける言葉で満たされていく中、パーラは一人、ガスパーレのために謎の病に立ち向かおうとするのだが・・・
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言葉の大切さって、現代でも軽んじられてる部分があるんじゃないかな。そう思うとこれは別の世界のお話なんかではなく、現代に置き換えることもできてしまう。
こんなふうに言葉や文字が奪われていくなんて、本好きの私としても耐えられない。その過程を描いている十数ページはもう憤懣やる方ない思いで読んでしまい、ちょっと疲れてしまった。けれど言葉を愛するものが(ジットはそれだけの人物ではなかったけれど)、言葉の行く末を憂いて、言葉を軽んじる人々から言葉を奪い取りたくなる気持ちを分からないでもない・・・・・・これって問題ある感情かな(^^;)?
言葉、気軽に使えるからいいこともある。けれど時にはちゃんと言葉の本当の意味を考えてみよう。古い詩や物語、人生の先輩が語る言葉に素直に耳を傾けてみよう。とても大事なことや、気付かなかった新しいことが見つかるかもしれない。
イーザウ氏の作品は宗教色が強いけれど、今回は全くと言っていいほど感じられなかった。もちろん物語のベースにはそういうものがしっかりあるのだろう。
しかし宗教色も強く、長く、読み終えるのが大変だった「ネシャン・サーガ」の方が、個人的には読み易く感じた。
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