梨木香歩/角川書店
★★★★★
土耳古(トルコ)皇帝からの招聘で、文化研究のため土耳古に滞在することになった村田。彼は、母国から遥か離れた地で、下宿先の主人である英国婦人や手伝いの土耳古人、研究者である独逸(ドイツ)人や希臘(ギリシャ)人ら友垣と、国や主義や民族を越えて語らい、かけがえのない時間を過ごす。
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良い意味で淡々と物語が進んでいくのだけれど、梨木さんのそれは押し付けがましくない束縛で―束縛とすら感じさせないのだが―こちらを捉えて話さない。
劇的ではないけれど、興味を惹く人物達との交わりあいや土耳古の雑多とした、けれど決して譲ることのない何かがある世界で、延々と穏やかで、不可思議な暮らしが続くのかと思っていた。終盤の突然の変化には、忍び笑いをもらしてしまいそうな「そうかぁ、やられたなぁ」感が・・・。
最後の最後の鸚鵡とのあのシーンに全てが集約された物語、にも思える。
「私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことはない」
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