
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/徳間書店
★★★★★
魔法に満ちた世界<ブレスト>は、多元世界の魔法バランスを保っている。宮廷付き魔法使いの両親と共に、王の<巡り旅>で育ったロディと幼馴染のグランドはある時、マーリンと王の家来が陰謀を企んでいることを知ってしまう。宮廷の大人達は既に敵の手の内に・・・。
別の世界で生命を狙われ、<地球>に住むことになったニックは多元世界を渡り歩くマジドに憧れていた。しかし彼自身には自分の魔法の力を操ることができなかった。が、突然別の世界へ放り込まれ、厄介事から逃げようとするうちに、ロディが助けを求める声を聞き・・・。
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多元世界の行き来だけでなく、時間の行き来も若干あるので、油断すると「あれ?」と読み返さなければいけなくなるところだった・・・(^^;)。けれど時系列の混乱がある『ヘックスウッド』ほどでは全くないのだけれど。
ロディとニックの語りで物語りは進むのだけれど、もちろんもともと違う世界に住んでいて、共通項(人物)があったりはするものの、肝心の時点に至るまでは全く交わらない。しかしその交わっていなかった物語が、交わり始めた時の気持ち良さ、そしてまたしても綺麗に隠れていた伏線(隠れてない伏線もあるけれど)が姿を現した時の爽快感(もう、本当にやられた!!って感じで思わず笑ってしまったりもする)は何とも言えない。
ロディとニックが目の前にいたら、言ってあげたい。「自分で自分のことを<自己中心的>だとか、<自分勝手>だと思ってる人は、決して<自己中心的>でも<自分勝手>でもないんだよ」と。
そうそう訳者の方にとても感服したのが邦題のつけ方。原題は『The Merlin Conspiracy』で、『マーリンの陰謀』というのだが、英国とは違って「マーリン」という言葉にイメージを膨らませられないであろう日本人のために、『花の魔法 白のドラゴン』としたそうだ。これはジョーンズ女史も気に入ってくれたそうだが、終盤に至って、本当に素晴らしくしっくり来るタイトルだな、と感じた。
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