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「丹生都比売」

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丹生都比売梨木香歩/原生林
★★★★☆
天智天皇の崩御直前、大海人皇子は家族や仕える者達と共に、吉野の里へ住まいを移す。やがて天智天皇が崩御し、草壁皇子の周囲は否応なしに変化していく。
丹生都比売に守られ、水銀を産する吉野で、草壁皇子は自然の美しさ、厳しさ、変わりゆく時代の中での自分の身の置き所のない寄る辺ない想いを、ひしひしと感じるのだった。唯一心を許せる、里の少女キサとの言葉のない語らいが、草壁皇子を慰めていた・・・。
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壬申の乱。大海人皇子と大友皇子との王位争い。言葉だけは知っているし、草壁皇子の名も記憶にある。でもその程度。
争いを好まず、自然を愛する草壁皇子の姿は、とても好感を持てるし、その母を想う幼心は痛々しい。キサもその心に惹かれたのだろうか。皇子が塞いでいる時に限って現れるかのようなキサは、やはり皇子のそういう魂を愛しく想っていたのだ、と思いたい。だから親に見捨てられた燕の雛を助けたいと思った時も、母のために恐ろしくて堪らない怪鳥マモを捕らえたいと言った時も、同じに手を差し伸べたのだ。

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