
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/徳間書店
★★★★★
湿原に暮らす<人間>と<巨人>、そして水み棲む<ドリグ>。お互いに理解し合わないままの彼らに、一層の災厄の種が撒かれた。人間の子供が、自分の強さを見せつけるため、その金の首輪を奪おうと、ドリグの子を殺してしまったのだ。首輪には恐ろしく、簡単には解けない呪いがかけられ、やがてその邪悪な力は湿原中を巻き込み続けていた。エイナとゲイア、そしてセリが生まれ、やがてゲイアが巨人の子供と友情を結ぶまで・・・。
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ほんの少し、自分と違う存在、生き物への理解を示せば、悲劇など起きずに済んだだろうに、自分達以外は愚かで、取るに足らない矮小な存在であるという驕りが、悲劇をさらに悲劇を呼び、憎悪を募らせていく。現実の世界にも蔓延っている、もっとも悲しい人間特有の病。
その理解しあうことの難しさは、種族間といった大きなところから、父と息子といったとても身近な最小単位の関係にも横たわっている。完全に理解し合うことは確かに難しいことだと思う。互いに違う存在で、違う環境・価値観の中で長く生きれば生きるだけ、互いの差が開き、どうして相手が違うことを感じ、考えるのか、どんなに考えても分からなくなるものだから。
けれど恐らく何より大事なことは、だからと言って拒否しないこと。まずは受け入れることが大切なのだと思う。そのままの相手を、そのままの自分で受け入れられること、そこから理解が始まるのだと思う。完全な理解が大事なのではない。理解しようと向き合い、受け入れることが大事なのだ。
こんなにワクワクドキドキするお話に、そういうことを織り込めるジョーンズ女史のファンタジーはやはり凄い。
ドリグ
ドリグが気にいっています。とくに最後の場面が心に残っています。
チェスさん、コメント、ありがとうございます。
悲壮とも言えそうな始まりですが、ラストの方は本当に心に残りますね。